【完】金魚色の恋






高野の下駄箱を見れば、まだローファーがある。

たぶん、いつもならこの時間帯は買い物に行ってるはずなのに。



俺は、教室までダッシュした。

教室のドアを勢いよく開けると、窓側の一番後ろに座っている高野。


俺を見るなり、目を丸くして、動いていた手が止まっている。

俺は、高野の前の席に座る。



「なにすればいい?」

「か、か、カラオケ…は?」

「抜けてきた」

「な、なんで…?」

「んなの…保健委員だから」


”保健委員だから”


『ただの保健委員の反応じゃなくね?』


たぶん、今日のこの事を圭に言ったら、また同じ言葉を言われるに違いない。