「なんで…助けてくれたの…っ?」 高野は腕を目に乗せて、俺と目を合わせようとしない。 そんなことしたって…金魚みたいな顔は隠せてねぇっつの。 「…保健委員だから」 違う。 そんな理由じゃない。 いや…理由なんて、ない。わからないんだ。 高野が泣いているところ見た瞬間、体が勝手に、頭で考えるより早く動いていたんだ。 「そっ、か…」 「…俺が”彼氏”だからとでも思った?」 「……」 高野のほおには、さらに涙が伝う。 「泣き虫」 近くにある椅子を高野の近くに持って来て、座る。