【完】金魚色の恋






家に帰れば、ちょうど実來が家から出てきた。


「三橋くん……」

「こんな時間にどうした?」

「……なんでもないっ」


実來はそう作り笑いをして、走って行った。

もう六時だぞ……ガキいるんだろ?


ドアノブに手をかけると、もう一度実來の家のドアが開いた。

開けたのは、実。


「よっ、久しぶり」

「なぁ……実來ねーちゃん、どこ行ったか知らねぇ?」

「さっき走って行ったぜ?」

「……」

「なんかあったのか?」

「わかんねぇ……電話にでてから、どっか行っちまったんだ」

電話?


「だれから?」

「教えてくんねーんだよ……」

「ふぅん。まぁ、コンビニとかじゃん?」


そう言っても、実はどこか腑に落ちないような顔をしている。

「サンキュ」と言って、家に戻った。