伝わるはずの想いも伝わらない、か……
まるで、あいつらだな。
何年も想いをためこんで……
伝えれば、その想いは届くのに。
そんなことを、頭で考えながらすっかり暗くなった夜道を歩く。
……頭では、わかってんだ。
想いを伝えても、届かないことぐらい。
伝えても、あいつを困らせるだけ。
伝えたら……いけない。
だけど……心ってのは、ホント正直なもので。
”実來に逢って、伝えたい”
そんな想いが、
頭の中を支配しようとする。
……俺の心はもう、
ただ一つのことで、いっぱいだったんだ。
それは、神野さんにも、わかるぐらい、単純で。
”実來に逢いたい”