「そしたら本当に俺に預けてさ。
ふざけんなって……ほんと。
そんで実來ちゃんと顔を合わせて”両親は出かけたよ”って言ったら、
”あぁ、やっぱり”って顔をしたよ」
神野さんが、切なそうに話す。
実來……そんときのお前、
どんなキモチだったんだよ。
「初めてみたよ」
「ぇ……」
「実來ちゃんが、誰かの前でなくなんて。
あんな、笑顔をみせるなんて、さ……」
「……」
「どこですれ違ったのかはわかんねぇけど、俺から言えることは一つだな。
離れたら……言葉は届かねぇよ。
いくら声を振り絞ったって、離れてたら意味がねぇんだ。
本音を伝えないと、伝わるはずの想いも伝わんねぇぞ」
神野さんは、「じゃあな、それだけ」と言ってコンビにを出た。