もらう際に高野が「ありがとう」と言って、ふわっと笑った。
「三橋君、口元、ケチャップついてるよ?」
高野にそう言われ、口元を手でこすれば、手にはケチャップが軽くつく。
……どうやら、高野には、嘘がバレバレみたいだ。
朝飯抜きなんて、弁当を受け取るための嘘。
クスクス笑う高野を見れば、俺は苦笑い。
「ちょっとぉ、二人でなに話してるのーっ?!」
「別に」
「……ぁ、ねぇ、三橋放課後暇?」
「まぁ……」
「じゃあさ、一緒に買い物行かない?」
「は? 何買うんだよ」
「文房具! 引っ越しとかしたら、物変えたくならない?」
「……まぁ、何にも用事ができなかったらな」
「やった!」
ニッと笑って俺の隣を歩く。
自然と、俺の後ろを歩くことになった高野に目を向けると、
高野は……寂しそうな表情をしていた。