「じゃあ、行こーっ!」

そう無邪気な笑顔を見せて、前を歩く浅野。

俺は、ずっと下を向いている高野の隣を歩く。


「弁当」

「ぇ……」

「……ねぇの?」

「ぁ……で、でも……もう、あるじゃん」

「ぁー……俺、実は朝飯抜いてんだよね」

「ぇ……」

「昼までもちそうにないんだけど」

「……いい、の?」

「腹減ってんだって」


高野は、嬉しそうに笑って弁当を差し出す。

俺はそれを受け取り、鞄の中に入れた。