放課後になり、俺が教室を出ようとすると担任に呼び止められた。

「? なんすか」

「はい、保健委員の仕事。今日中だから」

渡されたのは、“保健だより”ってタイトルの紙が数十枚。

「これ、紙張る場所なー」

さらにもう一枚、校内地図。

俺は心の中でため息をつき、帰ろうとする高野に声をかける。


「高野、これ仕事」

「ぁ、うん! のんちゃん、先に帰ってて!」

「は〜い」

花澤はニヤニヤ俺を見ながら、教室を出て行った。

校内地図を見ていると、後ろから誰かにぽんぽんと肩を叩かれた。

「帰らないの?」

見ると、ニコッと笑う浅野。

「帰りたくても、帰れねーの」

「あはは! なにそれ〜っ」

「保健委員の仕事で」

「ぁ、あたして手伝うよ?」

「? 帰らねぇの?」

俺がそう聞くと、浅野は少し照れくさそうに笑って言った。