9月1日。

俺はいつも通りの時間に家を出る。

マンションを出れば、以前のように小さな背中が目に入る。


「はよ」

「ぁ、お、おはよっ!」

少し恥ずかしそうに笑う高野。

俺は、心の中で少し笑う。


「弁当、ある?」

「ぁ、う、うん」


鞄の中から、いつものお弁当箱を受け取る。

俺が「サンキュ」と言えば、

高野は一瞬で金魚になる。



そんな高野を見るのは、久しぶりのような気がして、

どこか…新鮮で、


思わず吹き出した。