「悪い、圭。
俺、急用ができた」
「…実來?」
「…熱で倒れたって」
「行ってやれよ」
「当たり前だ」
俺は、帰る支度をして、「じゃあな」と部屋を出て行く。
その時…ほんの少し、圭が見せた表情…。
寂しそうで、切なそうで…。
悔しそうだった。
俺は、チャリを飛ばして自宅に戻る。
階段を駆け上がり、俺は高野の部屋のインターホンを押した。
すると、すぐに実がでてくる。
「京哉!!」
「実來は?」
「こっち…」
部屋にあがり、実が「こっち!」と言いながら俺の服を引っ張る。
案内された場所は、リビングの隣にある和室の部屋。
布団の上に寝かされていた。
たぶん…実が運んだんだろうな。
ベッドで寝かせられないのはしょうがない。

