公開初日とは思えない程ガラガラの場内は、まるでオールナイト上映の深夜枠を連想させた。
「まあ、平日だしね。こんなもんじゃないかな。 いいじゃない、ゆったりと見れるし。」
子供のような雰囲気で楽しげな妙は、そわそわしながらパンフレットをめくっていた。 そもそも、これから映画を見ると言うのに、パンフレットを見てしまうのはどうだろうか? まあ、それがマニアというものか。
しばらくして場内が暗くなり、映画が始まった。ストーリーは至って普通のロボットアニメだ、巨大ロボットに乗って戦う正義のヒーローと、世界征服を狙う悪の秘密結社との戦いという、近年ではむしろ珍しいくらいのベタな内容だった。 なんとなく見ていた俺だったが、あるシーンになった時、スクリーンに釘付けになってる自分がいた。それは教会らしき場所で、5人の神父と二人の若者が話をしている場面だった。どうゆう話の流れでそうなったのかは覚えていないが、その教会のシーンがやけに俺の心を掴んだのだ。
神父の一人が2人の若者に問う。
「考えは変わりませんか? お二人が犠牲になったとして、状況が変わる確率は低いのですよ」