「う~ん? 別れて無いな。 うん。 別れて無い。あれ? なんでユリスがいたんだっけ?」
いや、俺に聞かれてもな。
「記憶の薄い部分なのか? サポーターでもそれなりに制限があるんだろ? まあ、なんにせよ最終的にはユリスがいたんだしな。」
俺達が実行している世界の救済には、いろいろ細かいルールが存在している。一応仲間は全員参加なんだけど、他人の肉体を借りているのは俺を含めて三人だけ。だからリンダ達の肉体は、まさに本人そのものなのだと言う話らしい。
「そうかもな。私は特にお前と仲良かったからな。それに関する記憶の制限が厳しいのかもしれない。」
視線をゆるやかに地面に向けたリンダは、少し寂しそうな感じに見えた。
「まあたぶん、俺がフラれたんだろうな。リンダは良い女だからな。」
きっと同級生くらいにはモテモテだろう。とは声に出さないけどな。
「はいはい。冗談はそれくらいにして、そろそろ帰ろう。昼からは本格的に動くからな。」
あからさまに照れ隠しを全面に押し出しながら、リンダはスタスタと歩きはじめた。