ヒナは俺の目の前まできて右腕を振り上げる、しかし右腕は俺に当たる事無く通り過ぎる、そしてそのままの勢いで飛び上がったヒナの回し蹴りが俺の側頭葉に炸裂した。
「…っがぁ、つ、痛てて…」
俺はそのままソファーから転がり落ちて、勢い良く壁に衝突した。 完全に不意をつかれて防御もできなかったからな。
「痛くなんて無いだろ? パステルのひ弱な肉体なんだから、力なんてたかが知れてる。 それに、自分でもわかってるんだろ? 自分の言ってる事の無責任さ加減がな。 お前は馬鹿じゃない、むしろ誰よりも頭が良い。 それでもまだ続けるなら、もっと激しく教育してやる。」
俺は壁にぶつけた背中より、ヒナに蹴られた頭のダメージのが大きい事に疑問を感じたが、何も言い返せない雰囲気に言葉を飲み込んだ。 そしてヒナは俺を見てこう言った。
「生かしてやる、これから残りの人生を人間として生きろよ。」
俺は、ヒナが何を言ってるのかわからなくて、しばらく考え込んだが、ふいに一つの結論が頭に浮かんだ。