俺は、報道されていた内容に驚いて、頭の中が真っ白になった。それは、海外のテロ対策に、日本の自衛隊を派遣するというものであり。 まさに今、妙から聞かされた話と同じだったからだ。 その時の俺は、はたしてどれくらいの時間、考え込んでいたのだろう? 数十分? 数分? それとも数秒だったのかもしれない。 気が付いた時にはもう、妙の姿はなかった。 玄関が開いている、すぐに表に飛び出した俺だが、辺りを見渡しても妙は見つけられなかった。 途方に暮れていた俺は、自分が何かを踏みつけている事に気がついた。丸められた紙屑のようだが、よく見るとそれは便箋だった。 俺は直感的に妙の置いていった手紙だと理解いた。すぐに拾って中身を取り出す。 そこには、見慣れた妙の筆跡で、こう書かれていた。
『親愛なるあなたへ。 突然の事に驚いたと思います。 できる事なら、これを読むような事態にならない事を祈りながら、真実の一部を残します。 きっと神崎妙子は、あなたの事が好きだったと思います。ですが、それは今の私ではありません。 そして、私自身も、全てを知っている訳ではなく、知るためにここに存在しています。
『親愛なるあなたへ。 突然の事に驚いたと思います。 できる事なら、これを読むような事態にならない事を祈りながら、真実の一部を残します。 きっと神崎妙子は、あなたの事が好きだったと思います。ですが、それは今の私ではありません。 そして、私自身も、全てを知っている訳ではなく、知るためにここに存在しています。

