「雨宮さん!」


先ほどの巻き髪の秘書っぽい人が、向こうから走って来た。


「あら!大丈夫ですか?」

その女の人は、私達の様子を見て、一瞬変な顔をしたけれど。


いつもの事務的な表情に戻って、

「私、何か拭くもの、持ってきます!」


と、カツカツとヒールの音を響かせながら。


また、廊下の角を曲がって行った。


「あ、ごめん!」

彼は、私達の状態に気がついたようで。


少し慌てた様に、私の手をひいて、起こしてくれた。