『ねー、あれ見ようよ!』

『あれかー?いいぞ!』


日曜日の映画館。
カップルや家族などで賑わっている。

「ハナ。見たいやつってどれ?」

「…え?…えっとね、あれ」


そう言って、恋愛ものの映画の看板を指差した。


正直、如月の言葉をあまり聞いてなかった私。
どうしてもすれ違う、女の子の視線が気になってしまって。

初めて、如月の私服を見たけどカッコよかった。
そんな、如月を周りの女の子が放っておくわけがない。

その証拠に『ねー!あの人カッコいい!!』
そんなヒソヒソ声が聞こえた。

私って、如月の彼女に見えてるのかな?
私って、如月に釣り合って見えてるのかな?

色んな不安が押し寄せてきて、映画どころじゃなくなっていた。