精神が弱いのだと、そう思う。

みんながスルッと通り過ぎることがそうできない。

あの人の言った言葉本当はどういう意味なんだろうとか、あの時どうすればよかったんだろうとか、私の言葉は曲解されなかったろうかとか、どうしても深く考えてしまって抜け出せない。

そのせいで私は、幼い頃から慢性的に胃痛を抱えている。

精神が弱いのだ。

それは、恥ずかしいことだ。

ずっと、そう思っていた。

でも、そうじゃないと言ってくれた人がいた。


「お前の苦しみはお前にしかわからない。お前が世界一苦しいと思うなら、お前は正真正銘世界一苦しい筈だ。人と比べて、弱いとか強いとか思うな。辛いだろう」


その人は温かいミルクティーをくれながら微笑んでくれた。


「…辛かったな」


私が悪いんだと、ずっと思っていた。

こんなにも弱い私が悪いのだと。

甘えていると。

他にはもっともっと辛い思いをしている人がたくさんいて、苦しい心のままに笑っている人がいて、なのに私は、すぐに体を痛めて、誰かに気づいてもらおうとしている、ずるくて弱くて卑怯で汚い、そんないきものだとずっと思っていた。

なのに。

その人は、私の辛さを悼んでくれた。

こんなちっぽけな私の心を見つけてくれた。

嬉しかった。
涙が、出た。

私はその人に、
保健室の先生に、

恋をした。

一年間想い続けて、
二年目に告白をして、

そして、


それから一年間、

保健室には行っていない。