「約束、です」

ねえ先生。

あのとき私は
ちゃんと笑えて
いたのかな。





あまりの痛みに、どうやら私は一瞬気を失っていたようだ。

ぼんやりと視界に入ってくるものがノートと教科書だと理解できはじめ、耳に音が戻ってくる。

肺に残っているわずかな息をそっと吐き出すと、額に汗が滲んだ。

こめかみあたりで
脈が踊っている。

強力な毒を塗られたような胃の痛みは、私に吐き気すら許さない。

視界が、回る。


「大丈夫?」


誰かがそっと気遣ってくれる。

声を出すこともかなわず、私はなんとか頷く。


「保健室、行く?」


それには必死で首を横に振る。

その頑なな私の反応に、声の主は


「そう?」


と引いてくれる。


ごめん。

ありがとう。

でも、保健室だけは行かない。

絶対。

行かない。


約束、


したから。