「なんで俺等の姫が"守らなきゃいけねぇ奴"が隼人さんを裏切るんですか。俺等を裏切るんですか。ってな。」





稚春の肩が、大きく揺れた。





「でも、それは当たり前の事だ。アイツ等は俺の事を慕って、ついてきてくれてる。今までも文句一つ言わず、ついてきてくれた。」




俺にとっちゃあ"此所"が、"《SINE》"が居場所だ。




「この世界に入ってみて、ぃぃ事あると思う。でも、ぜってぇ嫌な事もあった筈だ。


モテるかもしんねぇ。喧嘩だって、強くなって優越感に浸れるかもしれねぇ。男友達だって増えるだろーよ。


でも逆に、好きで《SINE》に入ったのはぃぃけど親に蔑まれたりとかよ?今まで仲良くしてた奴等が急に遠ざかってったり。


モテたって、"《SINE》っつーブランド級の族に入ってる俺"しか見てねぇから"本当の俺"は見てねぇ。とかな。」




そう、それはぜってぇあった筈だ。俺だって、あった。


それでめげたりもしてた。

めげはしねぇけど、今もそれは続いてる。