はっきりと強い口調で伝えたその言葉は、稚春の耳にも届いたようでデケェ目を見開いてよりいっそうでかくして俺を見てきた。




「隼…人?」




どうしたの、と稚春の揺れる瞳がそう言ってくる。




「稚春、俺はな、お前を助けてやりてぇんだよ。稚春が怯えてるもんから、恐れてるもんから守ってやりてぇ。」




確かに、俺は頼りねぇかもしれねぇ。




「余計なお節介だ、って稚春に言われたとしても俺はお前を守ってみせる。いや、守る。」




俺の言葉を聞いて、稚春が顔を歪める。




「だから、首についてるキスマークが"その事"に関してるなら、無理して言えなんて言わねぇ。」




稚春が嫌なら。それで、傷付けてしまうなら。傷を、抉ってしまうなら。




「だけどな、稚春。お前は仮にも、俺の"女"だ。《SINE》の"姫"だ。」




でも、それでも。




「その痕を下の奴等に指摘されて、そのキスマークは俺のじゃねぇって答えたらぜってぇ下の奴等は困惑して俺に聞いてくるだろうよ。」




稚春も大事だ。でも、俺には守るもんが稚春以外にもある。