ムシャクシャした感情が俺の体を駆け上がってくるのに耐えられなくなってため息を一つ、大きく吐き出す。




その俺のため息に、稚春はビクリと体を震わせてデケェ目をゆっくりと俺に向けた。



稚春の真っ黒な瞳が静かに、揺れる。





……稚春、俺はよ。



お前を守ってやりてぇんだよ。


稚春の心を蝕んでいる闇から。



これは確信じゃねぇけど…きっと、昔より今の方が楽に息を吸えるだろ?


出逢った時のお前は、何も映してねぇ、"無"の中で死んだような目をして生きてたじゃねぇか。




それが、今は少なくとも笑えるようになっただろ?


自分の思ってる事が、今まで心の内に溜め込んでた事が、口に出せるようになっただろ?




それは……それは、
《SINE》がお前の居場所になってるからだろ?


俺や、俺の仲間が稚春の中でデケェ存在になりつつあるからだろ?



それなら、信じてみねぇか。



お前の過去も、闇も、全部受け止めてやるから。



何かに怯えてんだったら助けてやる。守ってやるから。



なぁ、だから…



《SINE》や、俺達や、






「………俺を、信じてくれねぇか?」