赤い狼 四






"《SINE》の守る姫"という証でもあり、"隼人の彼女"という証でもある雫型のダイヤが埋め込まれたシルバーブレスレット。




これはもう私には必要ない。


これから妃菜ちゃんがするものだから。



部屋の灯に当たって光るダイヤに目を細める。ギラギラ。眩しく輝くそれは綺麗という言葉しか出てこないほど美しい。



と。




「――――稚春。」





ずっと口に出してほしかった名前を隼人が呼んだ。



だけれど。





「今さら呼ばないで。」






離れる時に、このタイミングで、呼んではほしくない。






「呼ぶ相手、間違えてるんじゃない?隼人が呼ぶのは、"稚春"じゃなくて"妃菜"でしょ?」




揺れる漆黒の瞳を見つめながら冷たく言い放つ。



それを聞いた隼人の目が大きく開かれる。それでも私の意思は変わらない。目線は逸らさず、拳を握りしめる。









「さよなら。」