「分かってる。で、今どこに居るの?」
『相変わらず冷たいわね。どこに居るか、なんて分かってるくせに。』
クスクス。上品に笑うそれに多少のイラつきを覚え、ケータイを握りしめる。
途端に、みしりとケータイが悲鳴をあげた。
「悪趣味な真似はよして早く出てきたら?」
『まぁ挑発的。』
甘みを含んだ艶やかな声に、どの口が言ってんのよ。とツッコミたくなったけれど言うのも面倒で鼻で笑うだけにしてやった。
すると、
「ちょっと、鼻で笑わないでくれる?ムカつくから。」
ひょこり。妃菜ちゃんが《SINE》の入口から綺麗な顔を覗かせた。やっぱりそこに居たか。
妃菜ちゃんの登場でどよめく空間に苦笑しながら妃菜ちゃんを見つめる。
妃菜ちゃんは不良さんたちのどよめきにも全く反応を示さずに「久しぶりね。」ブーツの底を鳴らしながら私に微笑んだ。
「久しぶり。」
私も一切どよめきには流されずに妃菜ちゃんに微笑み返す。
その後すぐに連が「妃菜…っ!」と拒否反応を出しながら叫ぶから私の体に回された腕をギュッと今度は私が掴んだ。
大丈夫、と呟いて。
「それで、約束でしょ?」
「そうね、約束したわね。」
「早くしてくれる?」
「どれだけせっかちなの。」
くすり。今度は私が笑って妃菜ちゃんを見つめる。
そして
「これ、返すね。」
銀から貰ったブレスレットを茫然と突っ立っている棗の掌にそっと置いた。

