私の叫び声が部屋に響く。
頬を伝った涙が床に落ちる。
それを見た奏が静かに、
「お前は"稚春"だろ?」
言い聞かせるように、だけれど確認するかのように、私へとその言の葉を落とした。
それに、耳を塞いでいた手を力なく降ろす。
立っている気力がなくて、その場に崩れるように座りこむ。
「稚春…。」
そんな私にゆっくりと近付いて、力の入らなくなった私の体を優しく支えてくれたのは連。
「大丈夫。」と疑問系じゃなく言い切られたそれに酷く安心して、ゆっくりと瞬きをした。
と、
「どういうことなのか説明してもらおうじゃねぇの。なぁ、総長さんよ。」
挑発的な、だけれど怒気を含んだ声を銀が隼人の正面に立って出した。
視界の端にそれが見えて「銀、」小さく声を漏らす。でもそれはとてもじゃないけれど少し距離のある銀の所まで届くような声じゃなくて。叫んだせいで声はかれてて、最後のところは自分でも聞こえないくらい小さくなっていた。
それが聞こえるなんてゼロに近い。
「いつから稚春ちゃんのこと、"妃菜"って呼んでたわけ?」
「………。」
「答えねぇの?」
「…俺、"妃菜"って言ってたか?」
ぽつり。隼人が珍しく動揺した様子で呟く。
その視線は私に向けられていて、答えを求められてると漠然と隼人を見ていた。
「俺を見ろよ。今の隼人には稚春ちゃんと喋る権利なんてねぇよ。」
そうだろ?
問いかける銀の言葉。
それは誰に対してか分からない。だけどそれは私に向けられているようで、ギュッときつく、下唇を噛み締めた。
なんて苦しいんだろう。

