「稚春、箸を使いこなしてるね!」
「その手を引っ込めなさい。」
誉めてもダメだぞ。機嫌をとって見逃してもらおうと思ってるのバレバレだからね。
にこにこと奏特有の可愛らしい笑顔に負けじと真顔でお皿にまだ近付く奏の手を箸で叩く。
「チッ、」
「おい今舌打ちしたろ。」
攻防戦を繰り返していた合間、奏が私の耳にしっかりと届く舌打ちを溢した。やんのかコラ、あぁん?
喧嘩うってきたよな、今の。私の怒りセンサーが少し反応して眉がピクピクと動くのを確認する、と同時に奏が青い前髪をさらり。長い左側だけを人差し指でサイドに流して言った。
「俺のだから誰も手ぇ付けんなよ?」
「―――は?」
なに言ってんだコイツは。
一瞬、どこかのネジが外れたのかと思って奏の周りを一周ぐるりと回る。
だけれどどこのネジも外れてなかった。良かった、取り敢えず安心。
でもさっきの言葉が気になる。いったい誰に向けて言ったのか。それと何を自分のものと言ったのか。全く見当がつかないけど奏のことだ。何か真剣に言うほどのものに違い「寿司をそんなに必死になって守らなくてもいい気がするんだけどな。」
「え?」

