「そういうのは皆の前で言わないでよ!!」
「じゃあ二人のときに言えば良かったのかよ!」
「そういう問題じゃなくて!」
「じゃあどういう問題だ!!」
何故か言い合いになっている私と隼人。息もろくにせずに言い合っている私たちを見て奏は「痴話喧嘩はよそでやってよ。」もう飽きたらしくドライな奏にいつの間にか戻っていた。
それに「最低!」と叫んでやりたかったけど今は隼人とのやり取りでそれどころじゃない。塚、
「そういうのは私じゃなくて違う人に言うべきでしょ!」
私に言うセリフじゃないでしょ、それ。妃菜ちゃんに言うセリフでしょ。
すうっ、とろくに吸っていなかった酸素を吸い込む。
冷たい空気が肺に送られる。
「は?」
そこで聞こえた低い、声。
その主が誰かなんて分かってる。だから目をその主に向けずに救急箱がある部屋を目指しながら言った。
「そういうの、隼人が"運命の人"だって思った人に言ってくれない?」
簡単に、口にされると反応に困るし、苦しいから。
心の中で続きを口にする。
"運命の人"だなんて自分で言っていて笑えた。
"運命の人"なんて居るはずがない。私の結婚相手はもう決まってる。
"運命の人"。そんなものはしょせん、私には居ないものだ。

