赤い狼 四






「隼人さん!そこを右です!!そうです!」



「奏さんメチャクチャいいパンチっすね!やっぱり俺らの師匠なだけありますよ!!」




近付くと、不良たちの賑やかな声援。それの声に混ざっておそらく、馬鹿な二人が殴りあっているだろう鈍い音。



それに思わず、息を漏らす。




本当に、今年最後に何をやってるんだ。ちゃんとしてくれ。



そう思っている間にも乱闘は続き、声援もよりいっそう賑やかに、激しくなる。



馬鹿ばっかりだなー。




薄く細めた目を携帯のディスプレイに向ける。時刻は八時半。まだ間に合う。


取り敢えず喧嘩を止めさせて二人の手当てして、その間に不良さんたちには乱闘で汚くなった所を片付けてもらって、隼人と奏が喧嘩することに繋がった新年挨拶は棗に任せて、それから―――「いけいけ!奏さんが優位だぞ!」「隼人さん!頑張って下さい!!」煩くて集中できない。






「盛んな!!」




ぐわんぐわん、と響いた声。




それに私はスッキリした感覚に襲われた。





「稚春…さん。」



「あ、すんません。」




まるで【稚春さんのこと忘れてました】そんなニュアンスを顔とセリフに取り入れながら呆然として呟く不良さんたち。



それを耳に入れて、数秒。



ギッと目をつり上げて不良さんたちと馬鹿二人を睨みつけた。