「む、無視なんてしてないよ。」
「隼人たちの所に行こうとしてたでしょ?」
どもりながらも否定を口にしてみるけど棗はさっきの私のようにそれを華麗にスルーして
「無視と一緒だね。」
にこやかに、笑った。
―――その瞬間、私は悟ったのである。
「もう二度と逆らいません。」
「それが賢明だね。」
目の前でにこやかに笑う悪魔様に逆らうと後で後悔することになる、と。
それを証拠に、首の裏筋を伝っていく冷や汗が止まらない。
でも、それでも棗の背後に悪魔が見えるのは気のせいだ。
「いい子だね、稚春は。稚春が否定し続けてたらつい、力が入っちゃって俺の大事なパソコンが使い物にならなくなっちゃうところだったよ。」
と、思いたい。
「棗ちゃん、怖ぇじゃねぇの。」
「…、おぞましい。」
面白いものを発見した子供のような無邪気な声を出す銀がとても憎らしく感じる。キラキラと目を輝かせるな。助けろ。
棗の手にあるパソコンが使い物にならなくなる、ってことはそれと同時に、握られている私の腕も使い物にならなくなるってことで。
―――いつぞやの優魔のせいで肩が悲鳴をあげたことを思い出した。

