それならば。
聞くしかないと思う。
何故そう思うのかを。何故そう考えるのかを。その"納得いかない"理由を。
「何で私を転校させたいの?」
理由を分かったら少しは隼人に近付けるかもしれない。
淡い想いと期待が私の口を開かせる。
理由を聞かれるとは思ってなかったらしい隼人が、目を大きく開いた。
「え?いや、それ聞く?」
「…理由を聞かないと転校、考えることなんて出来ないでしょ?」
戸惑う隼人に穏やかに問う。
それを聞いた隼人が
「あぁ、そうだけど…。」
とあんまりにも言葉を濁すから
「私に言えないこと?」
つい、先を催促した。
「いや、別にそんなんじゃねぇ。」
「じゃあ言いなよ。」
「あーまぁあれだ。最近、俺ら逢えねぇよな?」
「うん、確かに。」
頷きながら"妃菜ちゃん探しで"と頭の中で付け加える。
隼人たちが"妃菜ちゃん探し"をしているということを、私が知っているのを隼人たちは知らない。
「だから倉庫にいちいち行くよりも同じ学校に居た方が逢えるし。」
「うん。」
「俺らが近くに居ることで稚春の危険も少しは軽くなる。」
「うん。」
「だから、転校してほしい。」

