赤い狼 四






改めて思い返してみると、すごく冷酷な人だ。



できれば、もう一生関わりたくないんだけどな。



"二人"ともには。






今度は隼人にではなく、"あの人"に対してため息を吐く。知らずの内に落ちていた視線を上に上げる。



その瞬間、顔を顰める。



目の前にあるのは隼人の顔。ただの隼人の顔なら顔を顰めやしない。




私が顔を顰めたのは




「何その顔。」




納得いかないオーラをとてつもなく醸し出している隼人がしつこいと思ったから。





「納得いかねぇ。」




ムッと眉を真ん中に寄せて目を鋭くさせて拗ねるように言う隼人。



それに「納得してよ。」と言おうとして口を紡ぐ。


きっと隼人は納得してと頼んでも納得しない。むしろ、それじゃあ強制だと反抗してきそう。




私に突っかかってくる隼人が瞬時に想像できて、額に手を持っていく。



隼人は時々お子様だ。



あれ嫌だの。
これやれだの。
気にするなだの。
納得いかないだの。




もう少し大人になれないものだろうか。




そう考えてすぐにその思想を消す。



隼人に到底無理なことを言ったってできっこない。