そっぽを向く私の顔の前で大きく手を振る隼人にため息をついて、「無理だからね。転校とか。」取り敢えず念を押しておく。
本当、時々予想もしないことを言ってくるからビックリする。
そんなに私の心臓に負担を掛けたいのか、隼人は。
いや、隼人以外も時々衝撃的なものをぶちこんでくるから結局、《SINE》の皆が変わった奴らなのかも。
……だいたい、急に転校とか無理でしょ。普通に考えて。
私の親はどっちかというと放任な方だし、この前電話でも『卒業するまでは好きなことしていい。』って言われたけど。
でも、転校は無理だと思う。あの人は学歴に煩いし。自分はもちろん、家族や友達も常に"一番""トップ"でないとダメな人だから。
だから、不良ばかりいる男子校に転校するなんて私が言っても絶対に許してくれない。
それに言ったらきっと、結婚の時期を早められて、せっかくの私の自由を奪われる。
あの人は私が少しでも、あの人の"理想の私の人生"からそ反れようとしたら無理やり元の場所に戻そうとするんだ。
私を見えない頑丈な縄で縛って檻の中に入れて監視する。
そんなことを平気でしちゃう人があの人。

