驚いて目を見開く私の目の前で「あー。」と短く声を漏らす隼人に馬鹿だ。と感想を抱く。
まさか忘れてたとは思わなかった。
まだポカーンと口を呆然と開けていると、隼人がぐしゃぐしゃと前髪を乱しだした。
今度はご乱心か。
忙しい奴だな。と思いながらそのまま隼人の様子を見る。隼人観察の時間が始まったようだ。
「…棗。」
「何?頭抱えてどうしたの、隼人。」
「きょ、共学にする方法とかってあるのか。」
「んー。無いね。」
「……奏。」
「んー?何~?」
「共学にする方法…。」
「理事長を脅せば~?」
「…よし。戦闘準備だ。」
おい待てコラ。
急に顔つきが変わった隼人に「ちょおぉお!馬鹿かお前は!!」と顔に回し蹴りを食らわす。
その瞬間、「いってぇええぇえ!!!」という大きな叫び声とガコッという音が聞こえたけど、きっと気のせい気のせい。
「おまっ!今一瞬、顎が外れたわっ、スゲェ音したわ!!」
「あー。あれ顎が外れた音だったんだね。」
「お前どこ見てんだよ!そっちじゃねぇ!俺はここだ!!」
「知ってるし。」
今日は隼人がよく喋る日らしい。

