赤い狼 四






驚いて目を見開く私の目の前で「あー。」と短く声を漏らす隼人に馬鹿だ。と感想を抱く。




まさか忘れてたとは思わなかった。




まだポカーンと口を呆然と開けていると、隼人がぐしゃぐしゃと前髪を乱しだした。



今度はご乱心か。



忙しい奴だな。と思いながらそのまま隼人の様子を見る。隼人観察の時間が始まったようだ。




「…棗。」



「何?頭抱えてどうしたの、隼人。」



「きょ、共学にする方法とかってあるのか。」



「んー。無いね。」



「……奏。」



「んー?何~?」



「共学にする方法…。」



「理事長を脅せば~?」



「…よし。戦闘準備だ。」




おい待てコラ。





急に顔つきが変わった隼人に「ちょおぉお!馬鹿かお前は!!」と顔に回し蹴りを食らわす。




その瞬間、「いってぇええぇえ!!!」という大きな叫び声とガコッという音が聞こえたけど、きっと気のせい気のせい。




「おまっ!今一瞬、顎が外れたわっ、スゲェ音したわ!!」



「あー。あれ顎が外れた音だったんだね。」



「お前どこ見てんだよ!そっちじゃねぇ!俺はここだ!!」



「知ってるし。」




今日は隼人がよく喋る日らしい。