っていうか隼人、さっき何て言った?
"捨てられたと思った"
そう聞こえたのは私の勘違い?
半ば放心状態になりながらも隼人が本当にそんな事を言ったのか考える。
でも、考えることなんて必要ない。とでも言うようにギュウとさっきよりも強い力で体を抱きしめられて、さっきのは幻聴なんかじゃなかったんだと悟った。
「勝手に一人で帰るんじゃねぇ。分かったか。」
まだ強く抱きしめてくる隼人の声が耳に響いくる。
その言葉を聞いて、隼人の声は低いけど綺麗だなと呑気な感想を持つ。
「……おい。」
一向に返事を返さない私に業を煮やした隼人がベリッという効果音がつきそうなくらい早く私の体を離して顔を覗きこんできた。
それによって私の体がさっきまでの温かみを失って冷たくなっていく。
それを感じてあぁ、冬だな。って頭の隅で思いながら隼人の目を見る。
熱い眼差しで私を見てくる隼人の目をしっかりと。

