かたん。
廊下側の一番後ろに置かれている机に腰掛ける妃菜ちゃんを見つめる。
妃菜ちゃんが出てきたなら、もう話の内容は分かりきってるな。
そう思った時、鈴を鳴らしたような声が妃菜ちゃんから出された。
「正直言って、あなたは隼人に似合わないわ。」
言われると思った。
やっぱりその話か、と密かにため息を溢す。
そんな事、もう既に分かってる。
「それ、私も思ってた。で、それが何?遠回しに言わないで本題を言えばいいじゃない。」
「…妙に素直ね?」
「アイツと私の格がどれだけ違うかなんて、分かってるから。」
馬鹿にしないでよ、と言いたくなるのをグッと堪える。
ここで喧嘩を売ったら惨めだ。
「じゃあ単刀直入に言わせてもらうわ。隼人と別れてくれない?」
「無理。」
「は?」
沈黙が訪れる。
密かに笑いを堪えきれなくて噴いた音が後ろから聞こえた。
たぶん、実と香だ。

