「…そうなる。」
ふわり。
自信なさげに妃菜ちゃんへと返事をしたと同時に開いている窓から吹き込んだ風に吹かれてカーテンが踊る。
それを密かに視界に入れた私の鼻に甘い匂いが注ぎ込まれて、ゆっくりと瞬きをした。
本当に、"妃菜ちゃん"は私とは正反対だ。
緩やかなウェーブを描いている妃菜ちゃんの髪の毛の毛先が風と遊ぶように舞うところを見て、「何だよ自分。」と心の中で呟く。
妃菜ちゃんを見たら自分に自信が無くなってきた。
だって、凄く可愛い。
妃菜ちゃんに負けてない、なんて心の隅で密かに思ってたのが滑稽だ。
って、…………待って。
何で私、妃菜ちゃんと張り合ってるの。別に張り合う理由なんてないのに。
おかしい、な。
触れたくない事に自分から触れたような気がして不快を顔に出す。
すると、それに妃菜ちゃんは気付いたみたい。
「そんなに睨まないでくれる?怖いんだけど。」
「あなたのせいじゃないから。」
「そう、ならいいけど。で、本題に入りましょうよ。」
腕を組んだ妃菜ちゃんが強い口調でそう言う。
それに、「そうね。」と同じように強い口調で返事を返した。

