「こうでもしないと吐いてくれないだろ?本当の事を。」
「稚春に聞きゃあいいだろうが。何でいちいち俺に聞いてくんだよ。」
「言いたくないのか?」
投げ掛けた台詞と共に隼人の眉がぴくりと反応を示した。
言いたくない事があったのか。
「何?俺らのお姫様はまた黙って《SINE》の強敵、《VENUS》のところにでも行っちゃった?」
「今日のお前はイラつくな。」
「そりゃどーも。」
舌打ちをした隼人が俺の笑みを見てまた舌打ちをした。
どうやら今日の俺は隼人をイラつかせる天才らしい。
「当たってんだ。でも今度は黙ってじゃあないんだろ?」
「………。」
「何だよ。稚春が《VENUS》の奴等のところに行ったのがそんなに面白くないのか?」
「………。」
「稚春は俺の女なのに、って?嫉妬してんだ?」
「………。」
「その黙りは肯定と捉えていいよな。否定がないって事だから。」
「………。」
喋り続ける俺をただじっと見つめる隼人に浅く笑う。
視線を交えてみても否定する様子は見当たらない。

