「で、何で居ないんだ?昨日も居なかっただろ?」
ん?と首を傾げて、缶の中身を一気に飲み干す。
その後すぐに顔を歪めた。
ぬるくなったビールは不味い。
「知らないのか。」
「知らないから聞いてんだけど?」
肩を竦めて缶を潰す。
隼人は今日の俺の態度が気に食わないのか、缶を床に落としてそのままガシガシと。
自分の髪の毛を掻き乱した。
隼人の指先から肘までの水滴が床と髪の毛に散っていく。
その光景をぼんやりと見つめていると、ビールを髪の毛が吸いとったのに気付いて隼人が顔を顰めた。
「臭ぇ。」
「当たり前だ。」
イマイチ隼人が分かんないな。
苦笑いを溢して後で風呂に入ってこいよ、と一部分だけピンクが入った少し長めの髪を横に避けながら言う。
結構伸びてきたな。そろそろ切らないと。
「で?結局聞いてないんだけど。」
気を取り直して三回目の質問を隼人に向ける。
それを聞いて「しつこいな。」とため息と共に漏らした隼人に「今日だけはね。」と口角を上げて言い返した。
今日は引くわけにはいかないんだよ。隼人のためにも、皆のためにも。……俺のためにも。

