赤い狼 四







「で、何で居ないんだ?昨日も居なかっただろ?」





ん?と首を傾げて、缶の中身を一気に飲み干す。




その後すぐに顔を歪めた。



ぬるくなったビールは不味い。





「知らないのか。」



「知らないから聞いてんだけど?」





肩を竦めて缶を潰す。



隼人は今日の俺の態度が気に食わないのか、缶を床に落としてそのままガシガシと。




自分の髪の毛を掻き乱した。




隼人の指先から肘までの水滴が床と髪の毛に散っていく。





その光景をぼんやりと見つめていると、ビールを髪の毛が吸いとったのに気付いて隼人が顔を顰めた。





「臭ぇ。」



「当たり前だ。」





イマイチ隼人が分かんないな。




苦笑いを溢して後で風呂に入ってこいよ、と一部分だけピンクが入った少し長めの髪を横に避けながら言う。




結構伸びてきたな。そろそろ切らないと。





「で?結局聞いてないんだけど。」





気を取り直して三回目の質問を隼人に向ける。




それを聞いて「しつこいな。」とため息と共に漏らした隼人に「今日だけはね。」と口角を上げて言い返した。




今日は引くわけにはいかないんだよ。隼人のためにも、皆のためにも。……俺のためにも。