信じたくない現実だが信じざるを得ない。
あの日確かに自分の目で見た炎。
パチパチと音を立てて燃える紙。
平然とした表情でライターの火を見続ける隼人。
何で燃やすんだと止めようとする俺。
灰皿に積み重なった灰。
夢ではない、実際に体験したその記憶は一部分が間違っていたらしい。
隼人は"妃菜からの手紙"を燃やしたんではなく"ただの黒と白の紙"を俺の前で燃やした。
それはキツく俺の手に握られた黒の封筒で分かる。演技したんだ。隼人は。
一番隼人の事を分かってる俺を騙した。
隼人は、妃菜は完全に過去の人となっている、ということを俺に思わせるために"わざと"そういう事をしたんだ。
目の前で見せられたら信じるしかないから。
俺も実際に信じた。でも、それは俺がこの手紙を発見してしまったから出来なくなった。
俺がたまたま見付けたがために隼人の演技が無駄になった。
その演技は"何のために"なんて。
そんな事は聞かないし、言わない。
だって、そんなの
「分かってる事だろ…。」
俺の中の疑問はなくなった。

