赤い狼 四







信じたくない現実だが信じざるを得ない。





あの日確かに自分の目で見た炎。



パチパチと音を立てて燃える紙。



平然とした表情でライターの火を見続ける隼人。



何で燃やすんだと止めようとする俺。



灰皿に積み重なった灰。



夢ではない、実際に体験したその記憶は一部分が間違っていたらしい。





隼人は"妃菜からの手紙"を燃やしたんではなく"ただの黒と白の紙"を俺の前で燃やした。





それはキツく俺の手に握られた黒の封筒で分かる。演技したんだ。隼人は。



一番隼人の事を分かってる俺を騙した。




隼人は、妃菜は完全に過去の人となっている、ということを俺に思わせるために"わざと"そういう事をしたんだ。



目の前で見せられたら信じるしかないから。


俺も実際に信じた。でも、それは俺がこの手紙を発見してしまったから出来なくなった。


俺がたまたま見付けたがために隼人の演技が無駄になった。





その演技は"何のために"なんて。



そんな事は聞かないし、言わない。




だって、そんなの





「分かってる事だろ…。」







俺の中の疑問はなくなった。