赤い狼 四








ばさり。





「ぎゃあああぁあ!!早く鳳陽と優悪を止めるんだ!」



「ちょ!俺の肉っ!!」



「止まれや!!!アホちゃうか!!」



「弘さぁん。鳳陽と優悪が全部食べちゃったんで、あと四皿下さぁい。」






拓磨の冷静な声が一階に響く。




そのすぐ後に一階から「四皿ぁ!?」と驚愕の声が聴こえた。




その一方で私は何が起こっているのか理解できないまま机の上での争いにポカーンと口を開けて唖然。




さっき私が両手でバサバサと元気よく振っていた赤い布は私の目の前に座る、龍の視界を遮るように顔に掛かっていて「これ何や!邪魔やねん!!」ただの赤い布に文句を言っている。




その右隣の要は頭を抱えて「俺の肉があぁあ!!」と泣きそうな表情。




龍の左隣の優魔は「死守だ!!なんとしてでもこの極上ステーキ肉だけは守らねば!」変な使命感を持っていた。




そして、私の両隣で「その肉よこせ~。さもなくばこのカボチャが牛乳にドボンだぞ~。」「肉~!肉!肉だぁあ!戦争だぁあ!!」



よく分からない脅迫をしている優悪と赤い布を見てすっかり戦闘モードに入ってしまった陽が鼻息を荒くしてお肉を次々と口の中に詰め込む。