赤い狼 四






「お、おい座れ。」



「構わん!さぁ来な!!」




いつも余裕を見せている優魔がどもりながら私の腕を引っ張ってくるのを足で蹴飛ばす。



えぇい!!邪魔なのよ!今は陽という牛の気をひこうと必死なのよ!そうよ。陽は今日から闘牛、【陽カンタナー】という名前に変わったのよ。





「さぁ来るんだ!陽カンタナー!!」





なかなかこの赤い布目掛けて走ってこない陽カンタナーに声をかける。



陽カンタナーは唾液をごくんと呑み込みながら箸を右手でカチカチカチカチッ!凄い速さでお肉を掴む練習をしていた。




それに負けじと「陽カンタナー!!!」と闘牛場での名前を呼び掛けてバサバサバサバサ!と赤い布をさっきよりも激しく縦に振れば、それによって起こった風と一緒に私の前髪がふわふわと踊る。




あぁ。風が気持ちいい。




バサバサバサバサ!




案外楽しかったのと陽カンタナーがなかなかこっちに興味を持ってくれないから調子にのって腕を縦に横に、と大きく振る。





バサバサバサバサ!



バサバサバサバサ!!



バサバサバサバサバサバサ!




バサバサバサバサバ「あ。」