それは私が自ら望んだ事じゃ無いけど、私はもう決めているから。



"あの人達"に決められた人生を歩んでいくって決めた。




私の決心は鈍らないし、変わらない。


それなのに祐はしょっちゅう電話を掛けてきて"結婚はするな"って言って来る。


私はそれを無視して最近の《VENUS》の様子とか聞いて勝手に電話を切るんだけど…最近、祐から電話が掛かって来ない。




おかしい。まぁ、祐は祐で何か考えがあるんだろうけど、いくら祐でも私の邪魔をしようとしたら本当に許さない。



だって、"あの人"の言う通りにしておけば"あの約束"が守られるから。




私の邪魔は、誰にもさせない。


そして、その為にも今バレる訳にはいかない。




下へと向けていた目線を上に上げる。




「心配させてごめんなさい。でも、心配してくれてありがと。昨日は本当に何もなかったよ。」




ニコリと笑って棗の目を見る。


棗はまだ、私を疑わしく見る。




「嘘だろ。何かあったんだろ。稚春、いつもと様子が違う。」




私を射るように見つめる棗は私の本心を探るように目を見てくる。


残念だけどね、私の気持ちは分からないよ。