でも、茂さんは何も言ってこなかった。
総長の女に文句つけたりしないんですね、って言ったら茂さんは優しく笑って、
もう世代交代したしな。今の頭は隼人だ。《SINE》の事は隼人とお前らに任せてるんだ。
と真剣な口調で言われたのを覚えてる。
その時は任せられた。という意識とかは正直、そんなに自覚はしてなくて。
ただぼんやりと茂さんの時代は終わったのか。とただ感じていた。
でも今、考えてみれば茂さんは
今の状態の《SINE》で本当にいいのか?しっかりしろ。頭の言いなりでいいのか?お前らも《SINE》のまとめ役だろ。
という意味で言っていたんだと思う。
だからこそ、隼人に《SINE》を任せた。と言わずに、隼人と俺らに《SINE》を任せた。と言ったんだ。
そんな事にも気付かなかった俺は
"《SINE》を守る"という意思と、"《SINE》のトップ"に立つ奴だ、という自覚がスゲェ足りてなかった。
と本当に自分を不甲斐なく思う。

