そしてきっと、隼人が一番それを思って、後悔してる。



それは、憶測とかじゃなくて本当の事で。


あの事件以来、女を《SINE》に連れ込む事はなくなった。



《SINE》の奴等の女も《SINE》に一切、来させねぇようにして。



それは、アイツの後悔の証。隼人の心に傷が深く刻まれた、証。




自分が全てわりぃと思ってるんだろう。


妃菜ちゃんを、自分が《SINE》に連れ込んでしまったから。





「――なぁ、お前ら。話がある。俺、女ができた。」




そう唐突に告げられて、心底驚いた。



あの隼人が?



そう思って眉を顰めたのを覚えてる。


冗談だろって、棗が笑ったのも。




でも隼人は本気だ、とそう言って。それから毎日、妃菜ちゃんを自ら迎えに行ってた。



あの時の俺は、まぁ、隼人が言うんならいいか。と安易に考えていて。



妃菜ちゃんの情報を探ろうなんて思い付きもしなかった。


馬鹿だな。と、今なら思う。



それが一番、危険なんだぞ。と。




たぶん、俺らは関東統一してて、その座をキープし続けてる事で余裕かまして油断して、ナメてたんだと思う。



関東トップという座を。



茂さんが一生懸命掴んだ、その座を。