誠也はそんなところが皆に好かれてたな。

尊敬もされてた。




「俺はそんな大それた人間じゃあないっす!」


とか言ってたけどよ、お前は大それた奴だったよ。




「この俺が誉めてんだ、素直になってもいいってもんじゃねぇか。」


って何度も笑い合ってたけど、二度と、出来なくなるなんてな。



あん時は思ってもなかった。たぶん、誰も。



隼人の次は絶対に誠也が四代目総長になるって誰もが思ってた。




なのに、あの日がそれを変えちまった。



俺らが見抜けなかったのもいけなかったが……その前にまず、詳しく調べもせずに女を易々と《SINE》に連れ込んだのがいけなかった。




それは、憧れの目で誠也を見ていた《SINE》の奴等も、


同じ歳なくせに誠也を慕っていた奏も、


誠也とよく口喧嘩をしていた連も、


誠也を実の弟のように可愛がっていた棗も、


厳しい事は言うが実は誠也の事を一番大事に思っていた隼人も、


そして、誠也とよく冗談を言い合って笑い合っていた俺も。





全員が思っている事。