あれ、私こんな奴だったっけ、と思いながらも不満や疑問は尽きない。




黙ってこっちを見てこない棗に、ねぇ、どうなの。とまた問いかけた。




「………。」




でも棗は何の反応も見せず、ただ黙っているだけ。



それを見て確信した。



やっぱり"ひなちゃん"か…、と。




そう思ったら何故か急に脱力感が襲ってきた。




「やっぱり何でもないや。いってらっしゃい。」




自分でも分かるほど穏やかに笑った。


それは何でなのか、なんて言われたら分からないけど。




「はぁ?さっきまでは止めてたくせにか?」



「うん、ごめんね。もう大丈夫。いってらっしゃい。」




何だお前は。と文句を言ってくる銀に、ごめんってば。と声をかけて手を振る。




「んじゃ、行くわ。」



「…行ってきます。」



「いってらっしゃい。」




私が再度、声をかけると二人が部屋から出ていく。


それをドアが閉まるまで笑顔で見送った。




私にずっと視線を向けていた棗は最後まで不思議そうにジッと私を見ていた。