赤い狼 四






…………。




っておいおい。




なんか今、幻聴聞こえなかった?え?気のせい?絶対今、部屋に入ってきたよね?そうだよね?



さっき連の首に吸い付いた時によく知った声が二つ聞こえたんだけど…気のせいかな?



ん?と首を傾げらがらも、もう勢いよく連の首に吸い付くと脳が認識しているため、


私の口の動きは止まらずにそのまま続行されている。



取り敢えず、私の予想が当たっていたらこの状況はどう考えても騒がれると判断した私は


体を連からゆっくりと遠ざける。



でも、その行動に気付かない訳がない連が私の体に両手を回してきて、また連と密着する形になってしまった。


しかも、ご丁寧に片方の手は私の頭をガッシリと捉えていて。おかげで私の口は連の首筋に埋まったまま。



…離せないし、動けない。という困った状態になった。




「んーんーっ、」




退いてほしい。っていうかまず離して。


そんな意味を込めて声を出すけど、そうだった。私、喋れない状況だった。




「んーんーっ!」




でも負けじともう一度、連の名前を呼んでみる。



負けてたまるか。またあのエロピンクハレンチ男に事情聴取させられるのは絶対に嫌だ。



塚、今のこの状況をアイツに見られたら次はどんなテクをご要望ですか、とか聞いてくるに違いない。