「分かんないよ。この世に生まれて一度も可愛ぃとか思った事ないよ。」
「本気で言ってんのかよ…。」
「本気だよっ。」
疑うような眼差しで私を見てくる連からプイッと顔を背ければ、連は深いため息を一つ溢す。
「あのなぁ、自覚してねぇっていうのが一番タチわりぃんだぞ。」
「知ってるもん。」
「知ってるって…。お前今、完全にそれだろーが。」
連がカシカシと頭を掻きながら私を困った表情で見つめる。
私は悪くないもん。可愛ぃとか言う連が悪いんだもん。そーだよ。私は悪くないもん。悪いのは連だもんっ。
こーなったらただの子供だ。
相変わらずプイッと連から顔を背けたままの私を見て連が今度は小さくため息をついた。
「拗ねんな。俺が悪かった。」
痺れを切らせた連が私の頭をポンポンと軽く叩きながら私に悪かった悪かった、と謝る。
それに少しだけ罪悪感を感じた私はチラリと連の方に視線を向けた。
と、同時に。
「とでも言うと思ったか。」
連に悪魔様が降臨なさった。

