赤い狼 四






「なぁ稚春。今日来てからずっと一人だったのか?」



「うん。隼人が車で学校に迎えに来て、何か用事があったみたいですぐに居なくなったよ。


それからずっと一人でお留守番。って、さっきからそればっかり気にしてるけど何かあったの?」



連にしては凄く心配してくるね?と連の服の裾を丸めながら言うと、連が「うるせぇよ。」とぶっきらぼうに呟いた。




「ふふ、煩くないもーん。」



「俺だってこう見えて、稚春の事日頃からいっつも気にかけてんだぞ。」



「はいは…いっ!?」




拗ねた口調で喋る連が可愛く思えてクスクス笑っていると、連に密着していた体を離されてグッ、と二の腕を掴まれた。




さすがにからかい過ぎたか、と怒られるのを覚悟で連の顔を見る。




「え?」




でも、連は何故か悲しそうな顔をしていた。




「ご、ごめんね、連。ちょっとからかい過ぎたよね…。」




そんなに傷付いたなんて、と慌てて連に頭を下げる。




「稚春。頭上げて。」



「でも、ごめんね?」



「…別にぃぃ。だから顔を上げて。んで俺も先に謝っておく。ごめん。」



「え。何、が―――」




連の言ってる意味が分からなくて顔を上げようとした瞬間だった。