先生に注意される皆にバレない様に、コソコソとドロボーみたいに脱出するのに苦労したな。


李子と並んで座ってたベンチから、よっと立ち上がる。


「今頃凛兎の皆と時色の生徒、何やってるのかしらね……」


男の子並みに低い声で呟いた。


「新校舎の中歩き回ってるんじゃない?私達も明日見る事になるでしょ」


「私は出来れば一生見たくなかったよ」


地面に転がってた石ころを、チョンと蹴る。


黒い石がコンコンと音をたててバウンドした。


座っていた李子も、スカートを叩きながら腰を上げた。


「美名、まだ気にしてるの?」