「大丈夫ですよお嬢様。とてもお似合いです」


にこやかに笑う谷内の言葉に安堵して、カバンの中から小説を取り出す。


しおりを挟んでいたページを探しあて、続きを読み出した。


まだ着くまで後10分はあるから、ちょっとは先に進めるよね?


犯人が誰なのか気になるけど、そこまでは読めないだろうな。


「あ、コイツのアリバイ完璧だって証明されちゃった……」


――――…私は一条 美名《いちじょう みな》、現在中学3年生。


一条グループの社長令嬢で、小さい時から何不自由無く生きて来た。


…………“一部”を除いてはね。